セレコックスは妊娠初期~後期や授乳中に飲んでもいい?

セレコックスの妊娠中・授乳中の影響とは?

 

セレコックスに限らず、妊娠中だったり、授乳の際に服用する医薬品について「ホントに飲んでもいいの?」と疑問を持つ女性は多いでしょう。実際、妊娠中・授乳中は服用してはいけない医薬品もあるので、きちんとした基準が知りたいはずです。

 

ここでは、セレコックスの妊娠中・授乳中の注意点について説明するので、あらかじめチェックしておいてください。

 

まずはじめに見ておきたいのは、セレコックスの添付文書です。添付文書はようするに「説明書」なので、ポイントの確認に最適です。

 

妊娠末期には投与しないこと。[妊娠末期のマウス1)及びヒツジ2)への投与において、胎児の動脈管収縮が報告されている。]

 

妊婦(妊娠末期以外)又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。

 

また、他の非ステロイド性消炎・鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的な不妊が認められたとの報告がある。

セレコックス添付文書:http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00052751.pdf

 

↑の内容をわかりやすく書き換えると以下のとおりとなります。

 

妊娠初期~中期は、セレコックスの必要性が危険性を上回る場合のみ服用OK。

 

妊娠末期(妊娠28~31週・第8月)の投薬は禁忌

 

セレコックス以外の鎮痛剤を長期投与すると、一時的に不妊となることがある。

 

かんたんにまとめると、

 

妊娠初期~後期はどうしても痛みなどを抑えたいときはOKの場合あり。しかし、妊娠末期はNG。また、長期投与をすると不妊のリスクあり。

 

ということがわかります。

 

アメリカのセレコックス妊娠中の評価基準を見てみよう

 

セレコックスの添付文書からは、「妊娠末期はNG」と言う部分はわかりやすいものの、その他の「妊娠初期~中期は場合によってはOK」の部分がわかりにくくなっています。

 

ここをもう少し明確にするために、アメリカのFDA(日本で言う厚生労働省)の評価を見てみましょう。アメリカには医薬品と妊婦の影響を評価する「FDA薬剤胎児危険度分類基準(FDA pregnancy categories)」というものがあり、それぞれの医薬品を評価しています。

 

FDA薬剤胎児危険度分類基準

カテゴリー 危険性 妊娠中・授乳中の服用
A 危険性ナシ OK
B それほど危険性ナシ おおむねOK
C 危険性があるかも 場合によってはOK
D 危険性あり やむを得ない場合以外NG
X 禁忌 絶対NG

 

セレコックスの評価は、

 

妊娠30週まで…C
妊娠30週以降…D

 

となっています。

 

FDA薬剤胎児危険度分類基準は「A」から「X」の5段階評価になっていて、A~Bだと安全性があり、Cだと若干のリスクあり、「D」はできればやめておきたいというレベルになっています。「X」の場合は完全に禁忌です。

 

そう考えると、まずFDAにおいてはセレコックスが「禁忌」となるタイミングはないことになります。妊娠末期でも「D」なので、できれば避けたいが事情があれば仕方ないというスタンスのようです。ちなみに、「D」には抗うつ薬「パキシル」など、妊娠中はあまり積極的に飲みたくないイメージのものが入っています。また、アルコールは「D」に区分されており、それらと同程度のリスクということになります。

 

そして妊娠初期~中期に関しては「C」となり、末期に比べて1ランク安全度が上がっています。ただ、「C」もそれほど安全度が高いランクではありません。同ランクの医薬品としては、抗生物質の「クラビット」や中枢神経を刺激する「リタリン」などがあり、いずれにしてもあまり積極的に服用したいものとは言えなさそうです。

 

まとめると、

 

  1. 妊娠初期~中期に関しては、痛みが我慢できない場合はセレコックスを服用してもいいけど、なるべく飲まないようにする。
  2. 妊娠末期については、アルコールと同程度のリスク。なのでできる限り避ける。

 

と言うことができます。

 

セレコックスの妊活中の注意点とは

 

通常、妊娠初期にはリスクがある医薬品でも、妊活に影響は出ないものが多いです。あくまでもお腹の赤ちゃんに影響があるということで、妊娠していないのであれば影響がないということです。

 

ところが、先ほど添付文書の

 

また、他の非ステロイド性消炎・鎮痛剤を長期間投与されている女性において、一時的な不妊が認められたとの報告がある。

 

を紹介したように、鎮痛剤の中には一時的に不妊になってしまうものもあることを解説しました。つまり、鎮痛剤については、妊活中も注意が必要ということがわかります。

 

鎮痛剤が不妊につながりやすい原因としては、プロスタグランジンの影響が考えられます。プロスタグランジンとは、胃の粘膜を保護したり、輸入細動脈を拡張したりするために使われる重要な成分ですが、痛みのもとになるという側面ももっています。そして、プロスタグランジンは体内にある「COX」という酵素によって生成されます。

 

鎮痛剤を服用すると、COXの生成が阻害され、その結果プロスタグランジンが抑えられることになり、痛みが軽減されます。 →セレコックスの鎮痛作用のしくみ

 

しかし、COXにはCOX-1とCOX-2の2種類があり、

 

COX-1 全身に分布している
COX-2 炎症が起こったところだけに出現する

 

という特徴があります。COX-2だけを阻害できえれば、患部の痛みだけを抑えられることになるので理想的ですが、通常はCOX-1とCOX-2の両方が阻害されてしまいます。そのため、痛みを緩和できるが、同時に全身のプロスタグランジンも少なくなることにつながるのです。

 

全身のプロスタグランジンが減ることにより、例えば胃痛などの副作用が現れてきます。その他に、プロスタグランジンは排卵を促す作用もあるため、減少することにより不妊につながってしまうことがあるのです。

 

セレコックスは鎮痛剤の中でもCOX-2を選択的に阻害する医薬品なので、不妊などの影響はアスピリンやイブプロフェンといった鎮痛剤よりも小さくなっています。とはいえ、COX-1を全く阻害しないわけではないので、わずかながら不妊のリスクもあることになります。

 

なので、妊活中に痛みを感じる状況になったときは、なるべく痛みどめを我慢するか、もしくはCOX-2の阻害比率が高いセレコックスを使うようにしたほうがいいでしょう。

 

妊娠初期~中期のセレコックス服用はOK?

 

すでに解説した通り、妊娠初期~中期のセレコックス服用のリスクはカテゴリー「C」となっています。そこで気になるのが、「では、実際にはどんなリスクがあるのか?」という点です。

 

このリスクは、たいていの場合は胎児の「催奇形性」、つまりは先天異常のリスクとなります。妊娠2~12週は赤ちゃんがまだまだかなり小さく、医薬成分の影響を受けやすい時期です。「この時期にセレコックスを服用すると、わずかだけど先天異常が出る可能性があるよ」と言っているわけです。

 

なので、赤ちゃんがある程度大きくなった妊娠13週から、ランクアップする30週までの間については、あまり大きなリスクはないということでもあります。もちろんリスクがゼロというわけではありませんが、ママの体を通じてセレコックスの成分が赤ちゃんに入ってしまうことに注意するくらいでよいでしょう。

 

以上のことから、単に「妊娠初期~中期」とひとくくりにするのではなく、「特に妊娠初期に注意する」という考え方を持つようにしましょう。

 

とはいえ、セレコックスを服用していたが、つわりで妊娠に気が付いたというケースもあるでしょう。そんなときは、妊娠初期にセレコックスを服用して過ごしていたことになるので、慌ててしまうかもしれません。

 

ただ、それだけで気に病む必要はありません。確かに、FDA基準では「C」ではありますが、影響が出てしまう確率は極めて低いです。それよりは、悩みすぎてストレスを感じることの方が悪影響は大きいので、気にしすぎないようにしましょう。どうしても不安というのであれば、医師の診察を受けるなどして対処すればよいでしょう。

 

授乳中にセレコックスを服用してもよい?

 

授乳中も、セレコックスを服用している限りは、母乳を通じて赤ちゃんにセレコックスの成分を渡してしまうことになります。もちろん量としては少ないですが、赤ちゃんも小さいので影響はどうしても受けてしまいます。

 

また、セレコックスは効果の特性上、服用期間が長くなることがあります。風邪薬などであれば数日間しか服用しないので対応もしやすいですが、セレコックスの場合はそうもいかないことが多いです。

 

ただ、授乳中は妊娠中に比べて対応はしやすいです。というのも、妊娠中は赤ちゃんは目に見えませんが、授乳中はもう生まれているので、赤ちゃんの様子をつぶさに見ることができるのです。なので、下痢をしたり、ぐったりしているようなら、「セレコックスのせいかな」と考えて対処できるわけです。

 

また、服用が長期化しそうであっても、完全ミルク育児にしてしまえばセレコックスの影響は完全に断ち切ることができます。母乳がいいか、ミルクがいいかにはいろいろな議論がありますが、完全ミルク育児で元気に育っている赤ちゃんもたくさんいるので、セレコックスの服用が長期化しそうなときは、ミルク育児を優先するという考え方もありでしょう。

 

なお、完全ミルク育児の場合も、産後2~3日の「初乳」は上げるようにしてください。この初乳には「免疫グロブリンA」という免疫物質が含まれており、ママの免疫を赤ちゃんに与える大切な役割を果たしています。なので、初乳の2日前くらいからはセレコックスの服用は避けるようにしましょう。

 

初乳を与えれば最低限の免疫物質は赤ちゃんに与えることができるので、それ以降はミルク育児に変えてもそれほど問題は出ないでしょう。